それは、10月初旬だというのに、空には季節はずれの入道雲が張り出し、
息苦しいほどの蒸し暑さに、道行く人の歩みも鈍く感じるような日の午後のことでした。

例年にない連日の猛暑の中、日々張り込み・尾行業務に追われ、
少々バテ気味な調査員達の抱えていた調査がようやく一段落して、
久しぶりにエアコンの中、それぞれに報告書の作成や撮り溜めた写真の整理などを
静まり返ったオフィスの中で黙々と作業をこなしていたところ、
一本の電話が鳴り響いた。

電話の主は、少し鼻に掛かった男性の声で、興奮気味にこう話し始めた。

「70歳を過ぎた高齢の母親が、どうも詐欺の被害にあったようで…」

詳しい話を聞いたところによると、わずか3ヶ月の間に4500万円もの大金を、
相手からの電話を中心とする投資勧誘に応じて払ってしまったということでした。

これは、最近テレビなんかでも取り上げてる社債詐欺・未公開株詐欺の類のもので、
こうした詐欺グループの手口はどれも、短期間で、より多くの出資金を集め、
わずかな配当金を数回支払った後に、会社ごと消えてしまうことが多い。
故に被害者の出資金を取り返すにはすぐにでも調査に当たらなければ被害金は愚か、
相手の行方も逃してしまう事になる。

探偵事務所リアライズと詐欺集団の長い戦いが始まったのです。

続く…